Naoto
Naoto Naoto Hieda

Processing Community Day Japan 2021

Processing Community Day Japan 2021

2021年2月20日と21日に Processing Community Day Japan 2021 を開催しました。2019年2020年は東京の名を冠して Yahoo! LODGE にて開催しましたが、今回はオンラインであるため日本のコミュニティ全体が参加できるようリブランディングしました。今回も運営の目線からイベントを振り返りたいと思います。

真鍋大度様、 MIKIKO 様、 OpenProcessing 様にスポンサーいただきました

まずオンラインでの開催にあたり苦労したのは規模の設定です。オフラインの場合会場のキャパシティからチケットの売上などが逆算できますが(というのもうれしい限りで、過去二回とも満員御礼でした)、オンラインの場合は配信では制限を設ける必要がなく、逆に広報の手腕によっては集客が少なくなってしまうことも考えられます。そこで過去は機材や会場などのスポンサーをいただいたことはあったものの、今回初めてスポンサーから寄付をいただくことができ、円滑な運営に繋がりました。二つ返事で快諾いただいた Rhizomatiks の真鍋大度様には感謝しきれません。また、 OpenProcessing 様が有料メンバーシップを参加者全員に無料でいただけると連絡いただけたことで、イベント当日だけではなくコミュニティを巻き込んだムーブメントとしての Processing Community Day のイメージが次第にできあがりました。

13日〜:各種オンライン企画

ウェブサイト

今回の PCD のサイトやブランディングは中村陽菜さんの制作で、日本の Processing コミュニティを象徴するようなポップな感じに仕上げていただきました。完全に任せきりだったのですがドンピシャなデザインですばらしいです。しかも背景が p5.js で作られているため、リミックスしてデイリーコーディングの告知などにも(勝手に)使わせていただきました。

ギャラリー

コミュニティのスケッチや作品が掲載されています 本イベントは20日・21日の配信とワークショップでしたが、それに先立ち13日から二つの企画を開始しました。一つは PCD Japan Gallery で、展示会場を意識しながらも誰でも作品やスケッチを投稿できるようになっています。開発はニイノミさんで、過去の PCD に引き続き今回もご協力いただきました。キュレーションではなく誰でも投稿できるのがポイントで、デイリーコーディングのスケッチを中心に多彩な作品を投稿いただきました。

デイリーコーディング

投稿された作品が反映されている。テーマは「宇宙」

イベントを盛り上げるために一週間前からデイリーコーディング企画を始めたのですが、昨年4月のデイリーコーディング企画ではアーカイブができなかったという反省を踏まえ、 Twitter に投稿いただいた作品を閲覧できる場所を作ろうというのが 3D ギャラリーのコンセプトです。こちらはさんの制作で、事前に7つの展示空間を用意していただき、それぞれのテーマをデイリーコーディングのテーマに設定することで投稿作品と展示空間の統一感を出す工夫をしました。 Twitter に投稿いただいた作品はスクレイピングした後、毎日ギャラリーにアップロードして逐次反映していただきました。配信などこれ以外の企画はほぼすべて日本語でしたが、この企画はコンセプト上日本語がわからなくても参加できるので、テーマを英語でも告知して海外からの参加も促したのですがそれが見事にハマって言語を越えて盛り上げることができました。

こちらのテーマは「砂漠」

グッズ制作

ギャラリーなどの企画と並行してグッズ制作も行いました。100pHzさんが手を挙げていただいたことと Reona396 さんにメンター役を快諾いただいたことで、他に やもさんと eboshidori さんを加えTシャツのデザインをしていただきました。こちらのショップからご購入いただけます。売上はボランティアの謝礼に充てさせていただきます。

20日: YouTube 配信

20日の配信はこちらからご覧いただけます。

配信ではキーノートとトークセッション、そしてサプライズでシフマン先生からメッセージを頂戴しました。

キーノート

今回のキーノートは「新型コロナの実像をビッグデータで映し出すーProcessingによるデータ・ビジュアライズー」と題し山辺真幸さんが登壇しました。コロナウイルスのデータ可視化で大活躍されている山辺さんですが、私は既に「今年話題になった データ可視化コンテンツ 中の人 集合!」という昨年末のイベントでトークを聴講していました。ただ、その際とは違い今回は PCD ならではのお話として技術的なお話だけでなくジョン・マエダや Processing 製作者の一人であるケーシー・リースそして Processing との出会いなど他では聞けないエピソードも披露いただきました。なお、最近ケーシーには私たちの日本のコミュニティの活動に注目いただいているとのことで、輪が閉じたようでとてもうれしいです。 Processing は今年で20周年とクリエイティブ・コーディングでは長い歴史を持つツールになりますが、 Processing からプログラミングを始めた世代には Java での制作や Design by Numbers は新鮮に写ったのではないかと思います。

シフマン先生からのメッセージ

シークレット・ゲストとして、ニューヨーク大学のダニエル・シフマン先生からビデオ・メッセージをいただきました。以前からつぶやきProcessingに挑戦していただくなど日本のコミュニティとも関わりがありましたが、もう一歩踏み込んでなにかできないかと思い以前からメッセージをいただけないか打診していました。シフマン先生に快く引き受けていただいたので、ご本人にも楽しんでいただけるような企画ができないかと考えてスケッチをいくつか送って見ていただくことにしました。今回は運営のメンバーから deconbatch さんと Reona396 さん、そしてつぶやきProcessingで既にシフマン先生と交流のあるはぅ君さん、 Nature of Code や Coding Train で以前から学習されてスケッチを投稿しているセンバクさんからスケッチをいただきました。よくしゃべる方なので字幕をつけるのは苦労しましたが、その苦労も忘れて楽しんで作業ができるほど愛に溢れた動画になっています。

トークセッション

トークセッション~自分らしくクリエイティブな活動をするには~では ayakooo さん、ちにゅりさん、菅野創さんをお呼びして私がモデレーターとして行いました。人選は私の独断で、自分たちの世代でなるべく分野や活動に偏りがでないようにしました。特に意識したのが「広告やゲーム業界以外でもクリエイティブなことを続けていく道がある」ことです。 ayakooo さんは昨年の PCD でワークショップをしていただいたのですが、フットワークが軽く教育も制作も幅広く行っています。ちにゅりさんは昨年の PCD でウェブサイトの制作をしていただいた縁で、キャラクター制作の活動を仕事の傍ら続けているだけでなく以前から出身校で今回のテーマのような講演をされていると伺っていたのでまた違う角度からのお話が聞けると思いお呼びしました。菅野さんにはベルリンでお世話になったりつるんだりしていた縁で、若手のメディア・アーティストの「ロック・スター」でもあるので実際にアーティストとして活動するのはどういったことなのか生の声をお聞きしたく声をかけました。

内容はぜひ動画を見ていただきたいのですが、途中で打ち切ってしまった助成金の話は私自身よく出願する立場でもあるので更に深堀りしたかったのが正直な感想です。また三名には事前に質問に回答をいただいていたのですが、その中で触れられなかった話題として「どうやったら憧れのアーティストになれる?」というものがありました。三名とも以前はそういったロールモデルがいたが現在はいない、またそういったアーティストのことを徹底的に調べると学びがあるのではというコメントも。全員活動に対する熱意があって、継続することでここまでチャンスを掴んできたことが伺えましたが、ご視聴いただいた方のモチベーションにもつながれば企画した者としてこの上なくうれしいです。

21日:ワークショップ

21日には3つのワークショップを行いました。過去二回の PCD では同時並行でワークショップを行っていたため残念ながら配信や録画ができませんでしたが、今回はオンライン企画ということで講師の了承の下3つともアーカイブを録画・公開いたしました。どれも50人前後の方々に参加いただき大盛況だったこと、講師の方々と参加者のみなさまに非常に感謝しています。

サヤマ「Generative Illustrations / p5jsでグラフィックガチャをつくる」

サヤマさんにはイラスト風のスケッチの制作についてワークショップをしていただきました。特徴のある作風で謎に包まれていた制作過程を OpenProcessing のチュートリアル機能を使いながら余すところなく解説いただきました。また、参加者によるスケッチはこちらにまとめています。

資料はこちらからご覧いただけます。

岡千穂「MiniTidalサバト」

岡千穂さんには以前からライブ・コーディングのワークショップをお願いしたかったこともあり念願叶っての企画となりました。 SuperCollider がインストール必要な TidalCycles の場合インストールが複雑でコーディングを始めるまでが長くなってしまうのですが、今回は「お試し」版としてブラウザ上で使える Estuary というプラットフォームを使ったのですが、それもあって参加者の技術的なトラブルもほとんどなかったようですぐに音を鳴らすことができました。途中、セッションで音が鳴り止まずカオスな進行になりましたが、それほど盛り上がったことは企画した甲斐がありました。インストールが必要な TidalCycles 版のワークショップなど今後も続けていきたいという話が既に進行中ですのでご期待下さい!

Naoto Hieda「Hydra:ペイント、リミックス、破壊&不具合」

最後に追加ワークショップとして私が Hydra のライブ・コーディングのワークショップをしました。1月にフロールと行ったワークショップの資料をもとに日本語版として行ったもので、タイトルはその時の「ペイント、リミックス、ブレイク&グリッチ」をエキサイト翻訳にかけたものです。

資料はこちらからご覧いただけます。

クレジット

運営に関わっていただいたみなさまありがとうございました!最後にクレジットしたいと思います(敬称略、順不同)

運営

ウェブ企画

グッズ制作

キーノート

トークセッション

ワークショップ

スペシャル・ゲスト

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そしてチケットご購入いただいたみなさま、デイリーコーディングに参加いただいたりギャラリーに投稿いただいたみなさま、配信やワークショップご視聴いただいたみなさまありがとうございました。今後も Processing Community Japan として年一回の PCD および各種オンライン企画を続けていきたいと思います。

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