Naoto
Naoto Naoto Hieda

ドイツで一年過ごして

ドイツで一年過ごして

ワーキングホリデー・ビザを取得して2019年3月にドイツに引っ越してから一年が経ちました。3, 4月はライプツィヒで過ごし、5月から8月まではベルリン、その後香港でレジデンスをして10月から現在のケルンにいます。これまでのことは note.com や本ブログにも書きました。

ドイツに来て実感していることはプログラマやテクニシャンとして重宝されることよりもアーティストとして評価してくれる人が多いということです。これまでカナダで数年間、日本でも少しの間活動しましたが、アーティストとしてクレジットされても実際はインスタレーションの実装をメインにしたり商業案件に携わらせてもらったりと自分の技術的なスキルを評価いただくことがしばしばありました。それはそれでうれしかったし生活の助けになってはいたのですが、2018年に韓国でレジデンスをした頃から自分の表現したいことは何なのか考えるようになりました(詳しくは「自閉症とコンテンポラリーアート」に書いています)。それから昨年1月にタンツハウス、12月に Chaos Communication Congress でプレゼンテーションをしていく中で自分の中でテーマがはっきりしてきただけでなく、周りのアーティストやキュレーターの友だちからも自分が何を目指しているのか理解してもらえるようになり自信につながりました。

ドイツでは多くの方々にサポートしていただいています。2015年にニューヨークの Choreographic Coding Lab (CCL) 以降度々会っていて12月には発表の場をいただいたキュレーターの Jeanne Vogt や、同じく2017年の CCL で知り合ってからワークショップやレジデンスに誘っていただいている Mio Loclair には頭が上がりません。特に Mio はアーティストとしてやっていく上でどういうビジョンを持ったらいいかなど腹を割って話してくれました。本気かどうかはわかりませんが、コンテンポラリー・ダンスの大御所 William Forsythe に師事したらといわれたことがありダメもとでカンパニーにメールをしたのですが、やはり断られたものの William 本人から一言いただいたエピソードもあります。それから仕事を紹介してもらっただけでなくベルリンのクロイツベルク周辺でアイス巡りに付き合っていただいた菅野さん、Mio の紹介で知り合って香港で一緒にレジデンスをした Raphael Hillebrand などドイツで知り合ったアーティストはいい人ばかりです。そして大学に入ってからはネット・アートの Hans Bernhard やヴィジュアル・アートの Phil Collins に気にかけていただいていて、相談に乗っていただくだけでなくスタジオを使えるようにしてもらったり実際的なサポートもいただいています。

他のアーティスト(特に Hans)と相談をする中で、これまでギャラリーでインスタレーションを展示したいと漠然と考えていたイメージから抜け出して、おもしろいものをオンラインで発表し続けようと考えるようになりました(Virtual Exhibition など)。昨年から Processing Community Day Tokyo を立ち上げ海外のコミュニティと連絡を取り合っていたこともあり既に日本内外でネットワークができていたので、何か発表するたびに反応がありモチベーションにもつながっています。そして2020年2月の上旬にはパフォーマンスを行い、即興ではあったものの手応えがありいくつかの友だちに相談したところ今後ヨーロッパのいくつかの都市で公演を行うことになりました。これまで自分の研究テーマははっきりしてきたものの自分の作品といえるものがなく頭でっかちな感じがぬぐえなかったので、この機会にようやく自分も土俵に立てるのではないかなと思います。今後いくつか告知がある予定ですので応援いただけたら幸いです!

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